手術はいつ受ける?
「厚生科学研究班ガイドライン2002 現代の眼科学」は次のようなデータを示しています(各疾病の一般論について)。
手術が必要かどうかは、「白内障は手遅れになる病気ではないので、急いで手術を受ける必要はありません。……ご本人が生活上、不便を感じるようになったときが、手術を受ける時期になります」(いつ手術を受けたらいいの? 日本眼科医会)から、患者自身が決めることと言えそうです。 私の場合は、眼軸が異常に長い強度の近視だったので、眼内レンズにすることにより、視力が格段に改善しました。うまい具合に白内障になったし、もっと早く手術をすれば良かったとさえ感じています。 しかし、眼軸が通常の長さなら遠くは良く見えているし、老眼になっても水晶体の調整力が全く失われるわけではありません。軽い白内障になったとしても、水晶体の方が眼内レンズより優れています。本当に「生活上、不便を感じるようになった」かを、十分に検討してから手術するかどうかを判断すれば良いと思います。白内障手術では、結局は水晶体を取り去ってしまうのですから、手術が遅くなったからといって手遅れになるということはありません。 点眼薬には、「科学的根拠がない」? 白内障の進行を遅らせる点眼薬については、2003年に「科学的根拠がない」とする次のような新聞報道がなされ、話題となりました(白内障の点眼薬 問題)。
しかし、白内障の場合は、進行度合いを数値として確認できるわけではありません。また、進行が抑制されたとしても、薬を使わなくても進行しなかったのかもしれません。 そもそも、白内障の原因は良く分かっていないのですから、ある要因について薬に効果があったとしても、他の要因で白内障なっている場合は、その薬は効かないことになります。 白内障治療薬としての効果を、科学的データにより実証することは、至難の業なのかもしれません。 何となく、半世紀も使い続けられてきた? 薬学研究者から次のような指摘もあります(白内障の病態および治療の現状と今後の展望)。現在使われている白内障治療薬は40〜50年も前に承認されたものであり、薬理作用や薬効に関する学術論文は少なく、内容も不十分であるということです。「有用性を実感している患者も少なくないのではないだろうか」ということですが、薬を使っても良く見えるようになるわけではないのに有用性を実感するかは疑問に思います。有効性を十分に検証することなく、何となく、半世紀も使い続けられてきたということでしょうか。
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